JR福知山線脱線事故―2005年4月25日の記憶 あの日を忘れない
JR福知山線脱線事故被害者有志

定価: ¥ 1,680
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発売日: 2007-04
発売元: 神戸新聞総合出版センター
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自分は最後でもいい…パニックに置かれても…
あの事故がなぜ起こったか、その原因の追及、その後の対処、安全運転は行われいるか、それが大切なことは、分かっている。ただ、その後、ちょうど2年を経て本書は「あの日の記憶」を中心に、切実な「手記・記録」をまとめたもので、誠に貴重なものである。
直後は混乱して書き残す気にもなれなかったと思われるが、被害者支援の方々の力添えもあって、29人の証言をこのように一般にも読める形にしていただいたのは、ありがたい。次々と事故は起こり、この事故も人々の記憶から薄れ移ろいゆく時の流れの仲で、本書の意義は格別大きい。個人的に「待ち望んでいた本」である。
特に事故直後のなまなましい状況を伝えるリアルな表現に身の毛がよだつ思いがする。
マンションに激突し、座っていた乗客が飛ばされている場面の記憶の絵は凄い。高速度写真でもこうは捉えられない。また、2両目の様子では「私(小椋)の横で宙吊りになっていた男性」「顔が裂けていた人」「人の山の下から助けを求めていた女性」など、あの原爆直後に描かれた記憶の絵を思い出す。
そして、本書で一番心を惹かれ、何度読み返しても泪があふれ出てどうしようもないのは、隣人愛に満ちた、次の一文である。
でもそこには誰ひとり「早く病院に行きたい」という人はなく、誰もが「自分は最後でもいい…」という気持ちを持っていたと思う。
私たち皆に関係のある物語
記憶が風化することを何よりも恐れ、自分の身体に一生消えない傷が残ってほしいと願う若い女性。「脱出の時にあの人の手をなぜもっと強く引っ張らなかったのか」と悔やみ続ける人。地下駐車場に突っ込んだ1両目で身動きの取れない負傷者を励ましながら「俺には何もできん」と号泣する近隣住民。自らも無傷ではないのにティッシュを手に重傷者の間をさまよい、役立たずな自分を責め続ける人。綴られているのは凄惨な事故の記憶だが、そこには普通の人々が持つあたりまえの人間愛があふれていて、気づかないうちに涙が流れていた。手記を寄せた事故の生存者たちは、死を意識した瞬間に家族を思い、そして、生を得たあとには隣に乗り合わせた赤の他人たちを思い、やがて107人の命の重みを生き残ったその身に引き受けていく。
手記にはまた、事故当日、書き手たちが出会ったあらゆる人々の様子が詳細に語られている。「愛する家族の最後の様子が知りたい」という遺族たちの願いに応えようとしているからだ。同じ電車に乗り合わせた亡くなった107人と書き手たちは、その日どこかで接点があったかもしれない。書き手の記憶の中に、亡くなった家族の面影を必死に探す遺族たちの思いにも切なくなる。
JR西日本だけでなく、すべての鉄道会社、電車を使って移動する人々、つまり私たちみんなに関係のある物語です。
